フリーランスエンジニアの皆様、案件獲得のためのSES面談(商談)で不採用通知を受け取った経験はありませんか?
「自分のスキルは問題ないはずなのに、なぜ落ちてしまったのだろう?」
そう感じてしまうと、自身の市場価値に不安を覚えてしまうかもしれません。
しかし、SESの案件獲得における面談は、一般的な企業の「採用面接」とは根本的に異なる性質を持っています。
本記事では、SES面談が「採用」ではなく「マッチング」であるにもかかわらず不採用になる理由を徹底解説し、フリーランスエンジニアが案件通過率を最大限に高めるための具体的な対策と心構えをお伝えします。

【著者プロフィール】
江﨑 奈那
看護師/治験コーディネーター:3年
システムエンジニア:3年+
SES面談は落ちることがある?
結論から言うと、SES面談は「落ちる」(不採用となる)ことはあります。
ただし、これはあなたのエンジニアとしての能力やスキルが不足していることを意味するわけではありません。
SES面談の不採用は、あくまで「その案件の特定の要件や条件に、現時点のあなたが合致しなかった」という、一時的なミスマッチの結果であると捉えるべきです。
SES面談の位置づけ(採用ではなくマッチング)
SES(System Engineering Service)における案件紹介は、正社員の採用活動とは本質的に異なり、「採用」ではなく「マッチング」であるという点を理解することが極めて重要です。
1.雇用関係の有無
企業と応募者の間に長期的な雇用関係を結ぶことを目的としている。
そのため、スキルだけでなく、企業の文化、価値観、将来性なども含めた総合的な適性が問われる。
エンジニア(フリーランスまたはSES企業所属)と、クライアント企業の間で、特定期間の業務委託契約または準委任契約に基づく人材の提供(アサイン)を目的としている。
雇用関係は生じず、「その案件のタスク遂行に必要なスキルと経験があるか」というスポット的な業務遂行能力と、稼働条件の適合性を問われる。
2.評価の焦点
面談の目的は、クライアントが求める「業務要件」と、エンジニアが持つ「スキル・経験・希望条件」を照らし合わせ、双方が合意できるかを確認することです。
例えるなら、正社員採用が「結婚相手を探す活動」だとすれば、SES面談は「短〜中期プロジェクトのチームメンバーを探す活動」であり、より実務的な側面と条件面に焦点が当たります。
そのため、一方が不採用になっても、次々と他の案件に応募し、マッチングを探し続けることが可能です
それでも落ちることがある理由
SES面談がマッチングであるにもかかわらず不採用となるのは、前述の通り「要件が完全に一致しなかった」ことに尽きます。
主な要因は以下の通りです。
案件で求められる技術要素(言語、フレームワーク、経験年数、業界知識など)に対し、あなたのスキルシートの内容がオーバー・スペック(過剰)であったり、アンダー・スペック(不足)していたりする場合。
提示された単価、勤務地、リモート可否、参画期間などの希望条件が、クライアントの提示条件と合致しない場合。特に単価交渉の決裂は、スキルとは関係なく不採用の大きな要因となる。
技術力はあっても、チームの雰囲気やクライアントの求めるコミュニケーションスタイルに合わないと判断された場合。
あなたと同じかそれ以上のスキルを持つエンジニアが、複数人同時に面談に臨んでおり、その中で最も条件が合うエンジニアが選ばれた場合。
面談直前または直後に、クライアント側の組織変更や予算調整により、そもそも案件自体がクローズしたり、要件が大幅に変更になった場合。
これらの理由は、あなたの能力不足を示すものではなく、「その案件とは縁がなかった」という結果に過ぎないことを理解することが、メンタルヘルスを保つ上で非常に重要です。
SES面談で落ちる主な理由
SES面談で不採用となる理由は多岐にわたりますが、フリーランスエンジニア側で改善が可能な、特に頻繁に見られる理由を詳細に解説します。
スキルや経験が案件の要件に合わない
最も客観的で、かつ最も一般的な不採用理由です。
クライアントは、特定のプロジェクトで即戦力となる特定のスキルセットを求めています。
この「特定のスキルセット」からわずかに外れるだけで、不採用となることがあります。
必須スキル・経験年数の不一致
「React経験3年以上必須」の案件に対し、あなたの経験が1年半しかなかった場合や、「金融業界での開発経験」が求められるのに対し、あなたの経験がECサイト開発に偏っている場合など、必須要件に届かない場合です。
オーバースペック
高度なマネジメント経験や高い単価を希望するエンジニアに対し、クライアントが求めているのが「単純なコーディング作業」のみであった場合、クライアントから見て「すぐに辞めてしまうのではないか」「単価が高い」といった懸念が生じ、不採用となることがあります。
自己PRとスキルシートの乖離
スキルシートには多数の技術を記載しているにもかかわらず、面談でその技術を使った具体的なエピソードや成果を深掘りできない場合、記載内容の信頼性が揺らぎます。
コミュニケーション不足や態度の問題
技術力が高くても、チームの一員として円滑に業務を遂行できないと判断されれば、不採用となります。
質問への回答が不明確・冗長
クライアントの質問の意図を理解せず、的外れな回答をしたり、必要以上に長くまとまりのない回答をしたりすることで、「論理的思考力がない」「コミュニケーション能力に問題がある」と判断されます。
指示待ちの姿勢が見える
フリーランスには自発的な行動と問題解決能力が期待されます。
「言われたことだけをやります」といった受け身の姿勢は、即戦力としての評価を下げます。
態度やマナーの問題
遅刻、服装の乱れ(オンラインでも同様)、目を合わせない、専門用語を使いすぎる、前の案件の不満を漏らすなど、ビジネスマナーやプロフェッショナルな姿勢に欠ける振る舞いは、クライアントに不信感を与えます。
長期参画への意欲が弱く見られる
多くのSES案件は、短期ではなく数ヶ月から年単位での参画を想定しており、クライアントは、途中で離脱されるリスクを避けたいと考えています。
参画期間が短い希望
案件の想定期間が1年のところ、「まずは3ヶ月で様子を見たい」など、参画へのコミットメントが弱い発言は、クライアントに不安を与えます。
案件への関心度が低い
「とりあえず案件があれば何でもいい」といった姿勢や、案件の具体的な内容や目的について逆質問をしないなど、案件に対する熱意が感じられない場合、「すぐ他に移るのではないか」と懸念されます。
フリーランスとしての自覚の欠如
「次の案件が決まらないから応募した」というような、ネガティブな理由で参画しようとしていると見られると、モチベーションの低さから不採用につながります。
希望条件(単価・勤務地)がマッチしない
スキルや人物像とは関係なく、条件面での折り合いがつかないために不採用となるケースも非常に多いです。
単価のミスマッチ
クライアントの提示する予算上限と、あなたの希望単価に大きな開きがある場合です。
特に、面談で評価された技術力に見合わない単価を提示されると、クライアントは「単価を上げないとすぐに辞めてしまう」と判断する可能性があります。
勤務形態のミスマッチ
「フルリモート」を強く希望するが、クライアント側が「週3日出社必須」を譲れないなど、稼働条件が合わない場合はお互いに折り合いがつかず不採用につながりやすいです。
エンジニア側ではなくクライアント都合の場合もある
これは、エンジニア側の努力やスキルとは一切関係のない不採用理由です。
他候補者の採用決定
あなたの面談直前に、他の候補者が採用決定し、枠が埋まってしまった場合は無条件に不採用となる場合があります。
クライアント側の案件凍結・要件変更
面談後すぐに、クライアント側の予算見直しや組織体制の変更により、プロジェクト自体が延期・中止、または求められる要件が大幅に変更され、あなたのスキルが不要になった場合は不採用につながりやすいです。
面談通過後の社内調整
あなたが面談で非常に高い評価を得ても、社内の複数の調整(予算部門、人事部門など)が難航し、結果的に見送られてしまうケースも容易に考えられます。
SES面談でよく見られる評価ポイント
クライアント企業がSES面談でフリーランスエンジニアを評価する際、特に重視するポイントは「即戦力性」と「チームへの適応力」です。
技術スキルの整理・説明力
単にスキルシートに羅列された技術名を見るだけでなく、その技術をどう使いこなしてきたかを重視します。
- 技術の深さと幅
案件で求められるコア技術について、概念から実装レベルまで理解しているか。
また、関連技術や周辺技術についても知識の幅があるか。
- 課題解決への貢献度
「〇〇という技術を使いました」で終わらせず、「〇〇という技術を使って、××という課題を解決し、結果として△△という成果が出ました」と、具体的なストーリーで説明できるか。
- 習熟度の自己評価
自分の技術レベルを客観的かつ正確に評価し、面談官の質問に対し「この領域は得意だが、この領域は経験が浅い」と正直に伝えられるか。
過去の案件での役割や成果
単なる経歴ではなく、あなたの実務における価値を測るポイントです。
- 具体的な成果の言語化
開発に携わった際に、「コードを書きました」ではなく、「リリース時期を〇〇日間短縮した」「問い合わせ数を〇〇%削減した」など、定量的な成果を説明できるか。
- 役割と責任範囲
チーム内でどのような役割(リーダー、サブリーダー、メンバー、テスターなど)を担い、どの範囲の責任を持って業務を遂行したか。
- チーム開発への貢献
ソースコード管理(Gitなど)、レビュー、ドキュメント作成など、チーム開発における作法や貢献について具体的に話せるか。
チームで働く上でのコミュニケーション力
SESはチームでの開発が大前提であるため、協調性や連携能力が強く求められます。
- 報連相(報告・連絡・相談)の意識
「仕様が不明な場合どうするか」「問題が発生した場合どう対応するか」など、業務遂行上のコミュニケーション手順を明確に答えられるか。
- 傾聴力と理解力
面談官の質問の意図を正確に捉え、適切な応答ができているか。
- ポジティブな姿勢
ネガティブな出来事(炎上案件、トラブルなど)について話す際も、反省や学びに焦点を当て、前向きに語れるか。前の現場の悪口を言わないなど、プロとしての姿勢も重要です。
稼働条件や安定性への姿勢
リスクヘッジの観点から、クライアントが必ず確認するポイントです。
- 希望条件の明確さ
参画期間、単価、勤務形態、働き方など、希望条件が明確で、かつクライアントの条件とどこまでならすり合わせが可能かを示せるか。
- 参画へのコミットメント
案件の長期参画に対する意欲と安定性を伝えられるか。
「途中で離脱する可能性はないか」という質問に対し、納得感のある回答ができるか。
- 健康面や副業とのバランス
健康上の問題や、他の仕事との兼ね合いで業務に支障が出ないかなど、安定して稼働できる環境にあるか。
SES面談に落ちたときの考え方
不採用通知を受け取ると、誰でも落ち込み、自信を失いかけるものです。
しかし、フリーランスエンジニアとして安定して稼働するためには、正しい心構えで次の行動に移ることが極めて重要です。
必ずしもスキル不足ではないことを理解する
SES面談の不採用は、エンジニアとしての価値を否定するものではありません。
不採用の多くは、「その案件の、その瞬間の、そのクライアントの要件」とのミスマッチに過ぎません。
前述の通り、単価が合わなかった、他候補者が選ばれた、クライアント都合で案件がなくなった、といった非技術的な要因も多く存在します。
あなたが持つスキルや経験は、別の案件、別のクライアントにとっては喉から手が出るほど欲しい即戦力である可能性が高いのです。
不採用の原因を「自分のスキル不足」と安易に決めつけず、まずは「単なるミスマッチだった」と割り切ることが、早期の気持ちの切り替えにつながります。
複数案件に応募できるため気持ちを切り替える
正社員の転職活動では、内定辞退は基本的にできませんが、フリーランスの案件探しは複数同時に進行するのが一般的であり、多数の案件に並行して応募できます。
一つの案件に固執する必要は全くありません。むしろ、一つの案件に落ちたということは、「その案件に割いていたエネルギーを、よりマッチングする可能性の高い次の案件に注ぎ込める」とポジティブに捉えましょう。
落ちた面談から得られるフィードバック(営業担当経由で得られる場合)や、面談の雰囲気だけを回収し、すぐに次の案件の準備に取り掛かることが、フリーランスとしての鉄則です。
次の面談に向けて改善点を振り返る
「ミスマッチだった」と割り切る一方で、客観的に改善すべき点は必ず振り返りましょう。
営業担当からフィードバックをもらえた場合は、それを真摯に受け止めます。フィードバックがない場合も、面談で以下の点を自己評価してみましょう。
自分の得意な技術について、具体的な成果や貢献度を明確に伝えられたか?
面談官の質問の意図を正しく理解し、簡潔に回答できたか?
案件への関心や長期参画への意欲を適切に示せたか?
スキルシートの記載内容と、面談で話した内容にズレはなかったか?
改善点を特定し、「次はこれを試してみよう」という具体的なアクションプランに落とし込むことで、次の面談へのモチベーションを維持できます。
SES面談の通過率を上げるコツ
SES面談の通過率を上げるためには、事前の入念な準備と、面談時のプロフェッショナルとしての振る舞いが重要です。
スキルシートを最新に更新しておく
スキルシート(職務経歴書)は、面談への「招待状」であり「設計図」です。
これが古かったり、案件の要件とズレていたりすると、そもそも面談の機会を得られません。
直近の経験を詳細に
3ヶ月前、半年前に携わった最新のプロジェクトの内容を、使用技術、役割、成果を含めて具体的に記載しましょう。
案件特化のカスタマイズ
応募する案件の必須要件や歓迎要件を読み込み、その要件にマッチするあなたの経験が強調されるように、記載順序や表現を微調整しましょう。
不要な情報は省き、クライアントが最も知りたい情報がすぐに目に留まるように整理します。
自己評価の活用
使用技術について、自己評価(例:5段階評価)を付けることで、クライアントはあなたのスキルレベルを直感的に把握できます。
過去案件を「具体的な成果」として話せるよう準備する
面談では、スキルシートに記載された内容を「深掘り」されます。この深掘りに耐えられるよう、準備が必要です。
STAR法などの活用
「Situation(状況)」「Task(課題)」「Action(行動)」「Result(結果)」のフレームワークを活用し、過去の成功体験をストーリー仕立てで話せるように準備します。
これにより、あなたの貢献度と問題解決能力が明確に伝わります。
数字で語る
可能な限り、「〇〇の機能実装に成功した」だけでなく、「パフォーマンスが20%向上した」「開発期間を3週間短縮した」など、定量的な数値を用いて成果を説明します。
失敗談と学び
失敗した経験を話す際は、「なぜ失敗したのか」の分析と、「そこから何を学んで、次にどう活かしたか」をセットで話すことで、成長意欲と学習能力をアピールできます。
逆質問で意欲や関心を示す
面談の最後に求められる「何か質問はありますか?」の時間は、あなたの案件への意欲や関心をアピールし、クライアントとのマッチング度合いを測る絶好の機会です。
業務に関わる質問
「参画後、特に期待されている役割は何ですか?」
「技術スタックの選定理由や今後の展望について詳しく教えてください」
「チームメンバーの構成や開発フローはどのようなものですか?」
上記のように、一歩踏み込んだ質問をすることで、即戦力としてプロジェクトに貢献したいという熱意を示せます。
質問の準備
面談前に、案件概要やクライアント企業の情報を調査し、その情報に基づいた3~5つ程度の具体的な質問を用意しておきましょう。
営業担当と密に連携して希望条件をすり合わせる
フリーランスエンジニアにとって、営業担当は最も重要なパートナーです。営業担当との連携が、通過率を大きく左右します。
単価と条件の正直な伝達
あなたの希望単価や譲れない条件(リモート可否、参画期間など)を正直かつ明確に営業担当に伝えておきましょう。
営業担当は、その情報をもとにクライアントと交渉し、ミスマッチの案件を事前に除外することができます。
面談前の情報収集
面談前に、クライアント側の雰囲気、担当者の人柄、想定質問など、案件に関する詳細情報を可能な限り営業担当から聞き出しましょう。
これにより、面談の雰囲気に合わせた適切な準備ができます。
フィードバックの共有
面談で不採用となった場合、必ず不採用理由(クライアントからのフィードバック)を営業担当から聞き出し、次の面談に活かすための材料にしましょう。
まとめ:SES面談に落ちることはあるが、準備と工夫で通過率は上げられる
本記事を通して、SES面談は「採用面接ではなく、あくまでスキルと条件のスポット的なマッチングである」という本質を理解していただけたかと思います。
SES面談は、あなたの技術者としての価値を否定する場ではありません。不採用の理由は、スキル不足だけでなく、単価のミスマッチやクライアント側の都合など、非技術的な要因も多く含まれます。
大切なのは、一つの結果に一喜一憂せず、常に前向きに次の案件を探し、面談の度に改善を繰り返すプロフェッショナルな姿勢です。
最後に、面談通過率を上げるための4つのポイントをおさらいしましょう。
- スキルシートの最適化: 応募案件の要件に合わせて、直近の経験と具体的な成果を強調する。
- 成果の言語化: 過去の案件を「数字」と「ストーリー(STAR法など)」で語れるよう準備する。
- 意欲のアピール: 逆質問を活用し、案件への深い関心と長期参画への意欲を示す。
- 営業との連携: 希望条件を明確に伝え、面談前の情報収集と不採用時のフィードバック収集を徹底する。
フリーランスエンジニアは、常に市場に自身の価値を問い続け、「よりマッチする場所」を探し続けることが宿命です。
正しい準備と心構えで、あなたの価値を最大限に発揮できる案件を勝ち取りましょう。

【著者プロフィール】
江﨑 奈那
看護師/治験コーディネーター:3年
システムエンジニア:3年+

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