「今の給与だけでは将来が不安」
「将来はフリーランスとして独立したい」
そんな思いを抱えるエンジニアにとって、「副業」はキャリアを大きく広げる魅力的な選択肢です。
近年、IT業界の慢性的な人手不足や、働き方の多様化を背景に、エンジニア向けの副業案件は増加の一途を辿っています。特に、Web開発、アプリ開発、インフラ構築、そしてAIやデータ分析といった専門スキルを持つエンジニアは、本業以外でもその能力を活かしやすい環境にあります。
しかし、「興味はあるけれど、実際に何から始めればいいのかわからない」「本業との両立は本当に可能なのか?」と不安を感じている方も多いでしょう。
この記事では、実際にエンジニアでありながら副業を行っているかたへインタビューを行い、リアルなメリット・デメリット、そして副業を成功させるための具体的なステップを徹底解説します。

【著者プロフィール】
江﨑 奈那
看護師/治験コーディネーター:3年
システムエンジニア:3年+
エンジニア副業のメリット
エンジニアが副業を始めることには、単に収入が増えるという以外にも、将来のキャリア形成において計り知れないメリットがあります。実際にエンジニアが実感する主なメリットを見ていきましょう。
収入が増えて生活に余裕ができる
最も直接的でわかりやすいメリットは、やはり収入アップです。
エンジニアのスキルは市場価値が高く、例えばWebサイトの機能実装や簡単なシステム開発といった案件でも、時給換算で数千円、月単位で数万〜数十万円の収入を得ることは十分に可能です。
副業収入を「お小遣い」としてだけでなく、「貯蓄」や「投資」に回すことで、将来への経済的な不安を大きく軽減できます。
また、本業の給与に依存しない収入の柱ができることで、精神的な余裕も生まれます。もし本業で予期せぬ事態が起こったとしても、副業収入があればリスクヘッジができます。
スキルアップ・新しい技術習得につながる
本業では関わる機会のない新しい技術や分野に挑戦できるのも、副業の大きな魅力です。
安定したレガシーシステム(例:Java, C#)の保守運用
トレンドのWeb系言語(例:React, Next.js, Go)を使った新規開発
上記のように、副業を「実践的なトレーニングの場」として活用することで、自身の市場価値を高めることができます。
特定の技術を習得したい場合、研修や自己学習よりも、実際の案件を通じて対価をもらいながら学ぶ方が、モチベーションも高く、効率的なスキルアップにつながります。
また、SES企業のビジネスモデルが多重下請け構造になっている場合、技術選定の自由度が低かったり、特定のフェーズ(例:テスト工程のみ)に特化してしまい、全体像が見えにくいという課題が発生することがあります。
副業では、企画段階からリリースまで一気通貫で担当する機会も多く、これにより技術的な視野の広さとビジネス全体を俯瞰する能力を養うことができます。
これは、将来的にフリーランスとして独立する際に必須の能力です。
人脈が広がりキャリアの可能性が増える
副業を通じて、本業の会社とは全く異なる業界や規模の企業、あるいは個人事業主と関わることになります。この経験は、新しい人脈と知見をもたらします。
- スタートアップ企業の経営者から、ビジネスの立ち上げ方を学ぶ
- 異業種のプロフェッショナル(デザイナー、マーケター)と協業し、知見を交換する
- フリーランスエンジニアとして成功している先輩から、案件獲得のノウハウを聞く
上記のように、新しい出会いが、自身のキャリアパスの多様性を広げます。
これらの人脈は、将来的にあなたが転職や独立を考える際の、重要な情報源やビジネスパートナーとなる可能性を秘めています。
将来の独立やフリーランス準備になる
副業は、フリーランスエンジニアとしての働き方を「お試し」で経験できる絶好の機会です。
フリーランスとして働くことは、技術力以外にも「案件の獲得営業」「単価交渉」「スケジュール管理」「顧客折衝」といったビジネススキルが求められます。
本業で安定した収入があるうちに、副業を通じてこれらのスキルを練習し、フリーランス特有のリズムや責任感に慣れておくことは、将来の独立成功確率を大きく高めます。
例えば、週に数時間の副業から始めて、徐々に案件規模を大きくしていくことで、「自分はフリーランスとしてやっていけるのか?」という疑問に対する現実的な答えを得ることができます。
エンジニア副業のデメリット・注意点
メリットが多いエンジニア副業ですが、安易に始めると後悔することになりかねません。実際に「やってみた」人が直面する可能性のある、具体的なデメリットと注意点を把握し、対策を講じることが重要です。
時間が足りず本業に影響するリスク
副業は、基本的に本業が終わった後の時間や休日を使って行うことになります。これにより、物理的に休息やプライベートに充てる時間が削られます。
特に納期が迫っている場合などは、睡眠時間を削って作業に充てる必要が生じ、疲労の蓄積は避けられません。
その結果、集中力が低下し、本業でのパフォーマンスが落ちる、体調を崩すといったリスクが高まります。
副業を始める前に、現実的な作業時間を確保しそれを超える案件は受けないなど、厳格なルールを設けることが重要です。
また、納期に余裕のある案件、あるいはタスク単位で細かく区切られた案件を選ぶなど、無理のないスケジュール管理を徹底しましょう。
案件単価が低く思ったほど稼げないことも
エンジニアのスキルは高単価になりやすい一方で、副業案件のすべてが高単価とは限りません。
特に副業を始めたばかりで実績がない場合や、クラウドソーシングサイトなどで競合が多い案件では、買い叩かれてしまい、割に合わない低単価で請け負ってしまうことがあります。
中には、時給換算すると、アルバイト以下の単価になってしまうケースも散見されます。
副業を始める前に、自分のスキルレベルに対する市場相場を把握しておく必要があります。
まずは実績作りのために低単価な案件を請けるのは良い戦略ですが、いつまでも続けるのではなく、「実績を積んだら単価交渉をする」という目標を明確に持つことが重要です。
また、単価を上げるためには、得意分野を特化させ、その分野での実績をわかりやすく提示することが不可欠です。
確定申告や税金管理の手間
会社員の場合、所得税や住民税は会社が年末調整で行ってくれるため、個人で税務処理を行う機会はほとんどありません。
しかし、副業で年間20万円を超える所得(収入から経費を引いたもの)を得た場合、原則として確定申告が必要になります。
この確定申告の手続きは、エンジニアにとって専門外の領域であり、大きな精神的負担や手間になることがあります。所得を正しく申告しないと、追徴課税などの罰則を受けるリスクもあります。
副業を始める際に、会計ソフトを導入し、日々の経費や収入を記録する習慣をつけましょう。これにより、確定申告の時期になって慌てずに済みます。
また、最初は税理士への相談や、確定申告の知識を解説しているウェブサイト・書籍などで情報収集することが重要です。
会社規定や副業禁止ルールに注意
最も重要な注意点の一つが、所属企業の就業規則の確認です。
日本の企業では、副業を認める傾向にありますが、依然として副業を禁止している企業や、事前の届出を義務付けている企業も存在します。
もし会社が副業を禁止しているにも関わらず、無許可で行っていたことが発覚した場合、懲戒処分の対象となる可能性もあります。また、本業と同じ業界・顧客の案件を請け負うことで、利益相反や機密情報の漏洩といった問題を引き起こすリスクもあります。
副業を始める前に、必ず会社の就業規則を確認し、不安であれば人事に相談しましょう。
届出が必要な場合は、適切な手続きを踏んでください。
また、副業案件を選ぶ際には、本業と競合しない業種・技術を選ぶなど、本業への配慮を忘れないことが、長期的なキャリアを守る上で不可欠です。
これから副業を始めたいエンジニアへのステップ
エンジニアで実際に副業をやっている先輩たちの経験を参考に、これから副業を成功させるための具体的なロードマップを提示します。無理なく、着実にステップアップしていきましょう。
スキルの棚卸しをして得意分野を明確にする
副業を始める上で最も重要な準備は、「自分は何ができるのか」を明確にすることです。単に「エンジニアです」というだけでは、案件獲得の競争に埋もれてしまいます。
【具体的な技術スタックの列挙】
- 言語: Python, JavaScript (React/Vue), Java, Go, PHP (Laravel)
- DB: MySQL, PostgreSQL
- インフラ: AWS (EC2, S3, Lambda), GCP, Azure, Docker, Kubernetes
- その他: サーバーレス開発経験、API設計経験、スクレイピング経験
- 「〇〇言語でのWebアプリケーション新規開発を3年間経験」
- 「AWSを用いたインフラ構築・運用保守の経験あり」
- 「PM(プロジェクトマネージャー)として小規模チームのリーダー経験あり」
自分の得意分野(ニッチなスキルでも良い)を特化することで、その分野での案件単価を高く設定しやすくなります。
まずは、GitHubやポートフォリオサイトに実績をまとめて、いつでも提示できる状態にしましょう。
まずは小さな案件から始める
最初から高単価・長期の案件を狙う必要はありません。
むしろ、副業の進め方や、クライアントとのコミュニケーションに慣れることを目的とし、時間的・精神的な負担の少ない小さな案件からスタートするのが賢明です。
- 目安
- 納期が短く、単価が数万円〜10万円程度の「タスク型」または「スポット型」の案件。
例:Webサイトのバグ修正、既存機能への小さな追加、簡単なデータ移行スクリプト作成など
- クラウドソーシングサイト(例:Lancers, CrowdWorks): 案件数が多いが、単価競争になりやすい。
- 副業エージェントサービス(例:シューマツワーカー): 専任エージェントが仲介するため、単価交渉や条件面でのサポートが受けやすく、比較的高単価な案件も見つかりやすい。
まずは1〜2件実績を作り、「副業を完遂できた」という自信とクライアントからの評価を獲得することが最優先です。
実績を積んで単価アップを狙う
小さな案件で成功体験を積んだら、次のステップは「単価アップ」です。
単価を上げるためには、単に技術力があるだけでなく、クライアントに「あなたに依頼する価値がある」と感じてもらう必要があります。
- 単に依頼されたコードを書くだけでなく、「なぜその機能が必要なのか」を理解し、より良い提案をする。
- 依頼された技術だけでなく、インフラやセキュリティなど周辺知識も提供し、プロジェクト全体の品質向上に貢献する。
- 納期の厳守はもちろん、レスポンスの速さや丁寧なコミュニケーションで信頼感を高める。
クライアントからの「良い評価」と、具体的な「実績(ポートフォリオ)」は、次なる案件での単価交渉における強力な武器となります。
実績が増えたら、エージェントサービスを利用したり、知人の紹介案件に挑戦するなど、より高単価な案件が集まるチャネルへ活動を広げていきましょう。
タスク管理・健康管理を徹底する
副業を継続的に成功させるための土台は、「自己管理」です。本業と副業、そしてプライベートのバランスを保つことが不可欠です。
| 管理項目 | 具体的なアクション | 目的 |
|---|---|---|
| タスク管理 | ツール(Trello, Notion, Googleカレンダーなど)を使い、本業・副業のタスクと時間を明確にブロックする。「作業時間」をカレンダーに予約する習慣をつける。 | 納期遅延を防ぎ、本業への影響を最小限にする。 |
| 健康管理 | 最低でも6〜7時間の睡眠時間を確保する。週末には休息日を設け、副業の作業を完全にストップする。栄養バランスの取れた食事を意識する。 | 燃え尽き症候群(バーンアウト)を防ぎ、長期的なパフォーマンスを維持する。 |
| 経費管理 | 副業用の銀行口座やクレジットカードを作り、収入と経費を分けて管理する。領収書は即座に会計ソフトに入力する。 | 確定申告の手間を軽減し、正しい所得を把握する。 |
無理は長続きしません。
特に副業は自己責任の領域が広いため、体調や精神状態を常にチェックし、必要であれば案件をセーブする「勇気」を持つことも、成功するエンジニア副業家には求められます。
まとめ:エンジニア副業は「やってみた」人の声を参考に無理なく始めよう
本記事では、実際に本業はエンジニアをしながら副業をしている人へのインタビュー結果から、副業への具体的なメリット、注意すべきデメリット、そしてこれから始めるための具体的なステップについて解説しました。
【エンジニア副業の成功のための3つの鉄則】
- 経済的・精神的な余裕
収入増だけでなく、新しいスキルや人脈獲得が将来のキャリアに貢献します。 - 徹底的なリスク管理
本業への影響、会社の規定、そして確定申告の手間は事前に把握し、対策を講じましょう。 - スモールスタートとスキル特化
まずは得意なスキルを明確にし、小さな案件で実績と自信を積むことから始めましょう。
エンジニアスキルは、働き方を自由に選べる現代において、最も強力な武器の一つです。副業は、リスクを抑えながらその武器をさらに磨き、将来の可能性を広げる最良の手段です。
この記事が、あなたが副業への一歩を踏み出すきっかけとなり、そして成功へと導くガイドとなれば幸いです。

【著者プロフィール】
江﨑 奈那
看護師/治験コーディネーター:3年
システムエンジニア:3年+

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