案件獲得のためのSES面談(商流面談・技術面談)に臨む際、面談官から「何か質問はありますか?」と聞かれ、言葉に詰まってしまった経験はありませんか?
SES面談は、あなたのスキルや経験を伝える場であると同時に、案件やプロジェクトの実態を深く知るための重要な機会です。特に、面談の終盤に設けられる「逆質問」は、単なる質疑応答の時間ではありません。
逆質問は、案件に対してどれだけ真剣で、プロフェッショナルな視点を持っているかをアピールし、さらに契約後のミスマッチを防ぐための最重要フェーズです。
この記事では、好印象を与える具体的な質問例から、面談官に避けられるNG質問、そして印象を上げるための具体的なテクニックまで、徹底的に解説します。

【著者プロフィール】
江﨑 奈那
看護師/治験コーディネーター:3年
システムエンジニア:3年+
SES面談で「逆質問」は必要?
結論から言うと、SES面談において「逆質問」は必須です。
フリーランスエンジニアにとって、面談は「参画したい」という意欲を伝える場であり、企業側にとっては「この人に参画してほしい」と思わせるかどうかが決まる最終チェックポイントです。
この重要な局面で、「特にありません」と答えるのは、せっかくのチャンスを逃すことになりかねません。
逆質問が重視される理由
なぜ、面談官は逆質問の時間を重視するのでしょうか。それには、主に以下の3つの理由があります。
1.参画意欲と熱意の評価
面談官は、逆質問の内容から「この案件にどれだけ真剣に向き合っているか」を見ています。
具体的な開発環境、チーム体制、求められる成果など、一歩踏み込んだ質問ができるエンジニアは、「事前に案件情報をしっかり読み込み、自分のスキルがどう活かせるかを考えている」と評価されます。
これは、単に「仕事をしたい」というだけでなく、「このプロジェクトで成果を出したい」というプロとしての高い意欲の表れと見なされます。
2.コミュニケーション能力と論理的思考力の確認
フリーランスエンジニアは、技術力だけでなく、チームメンバーやクライアントと円滑に連携するための高いコミュニケーション能力が求められます。逆質問の時間は、その能力を測る絶好の機会です。
- 論点を整理して質問できているか
- 相手の回答を理解し、さらに掘り下げた質問ができるか
- 質問の仕方が丁寧で、ビジネスマナーに則っているか
これらの要素から、参画後のコミュニケーションスタイルや、問題解決に繋がる論理的な質問ができるかをチェックしています。
3.ミスマッチの防止(企業とエンジニア双方のメリット)
SESは、一度参画すると数ヶ月〜数年単位の契約になることが一般的です。企業側もエンジニア側も、契約後のミスマッチは避けたいと考えます。
面談官は、エンジニア側からの逆質問を通じて、案件情報に記載されていないリスクや潜在的な課題について、エンジニアがどう感じ、どう対処しようとしているかを測ります。
また、エンジニア側も、この時間を利用して、現場のリアルな雰囲気、残業時間、具体的な作業内容など、参画を判断するための核心的な情報を引き出すことができます。
これにより、お互いにとって後悔のない、質の高いマッチングを実現することができます。
SES面談で好印象を与える逆質問例
好印象を与える逆質問は、「自分が入ることで、どう貢献できるか」「プロとしてどう成長できるか」という視点が含まれていることが重要です。
現場の開発体制やチーム構成を確認する質問
これらの質問は、あなたがチームでの連携を重視していること、そして参画後の立ち上がりをイメージしていることをアピールできます。
チーム構成
「今回参画させていただくチームの人数と、具体的な役割分担(例: フロントエンド、バックエンド、PMなど)を教えていただけますか?」
現場の規模と自分の位置づけを把握し、参画後の人間関係や役割をイメージすることができます。
開発手法
「プロジェクトで採用されている開発手法(例: スクラム、ウォーターフォール)と、その際の具体的なタスク管理方法(例: Jira、Trelloなど)についてお聞かせください。」
開発プロセスへの関心を示すとともに、現場の進め方にスムーズに適合する準備があることをアピールできます。
連携
「チーム内のコミュニケーション頻度や、他チーム・クライアントとの連携で特に重視されているポイントがあれば教えてください。」
コミュニケーション文化や、情報の透明性を確認することができます。
コードレビュー
「コードレビューのプロセスはどのように行われていますか?また、どの程度の粒度でレビューが行われるか知りたいです。」
品質への意識の高さと、チームの技術的な規律について把握することができます。
求められるスキル・役割を把握する質問
これは最も重要です。「求められる役割」を深く理解し、それに応えようとする姿勢を見せることで、あなたのプロ意識を高く評価してもらえます。
最優先タスク
「参画直後の1ヶ月間で、私が最もフォーカスして取り組むべき最優先タスクはどのようなものになりますか?」
企業があなたに最も期待していることを確認し、貢献意欲をアピールできます。
キャッチアップ
「既存コードベースやドメイン知識をキャッチアップするために、特に参照すべきドキュメントや資料はありますか?」
自力で案件に入り込もうとする積極性をアピールすることができます。
成功の定義
「この案件におけるフリーランスエンジニアの成功は、どのようなアウトプットや成果で評価されますか?」
評価基準を明確にし、プロとして結果にコミットする姿勢を見せることができます。
技術的挑戦
「技術的に最も挑戦的・困難だと感じている領域があれば、教えていただけますか?その課題解決に貢献したいと考えています。」
困難な状況にも立ち向かう意欲と、問題解決能力への自信をアピールすることができます。
案件の進め方やツールについての質問
具体的なツールの確認は、即戦力として働くイメージを面談官に抱かせます。
技術スタック
「案件概要に記載されている(具体的な技術名)以外で、現在稼働している主要な技術スタックやミドルウェアがあれば教えてください。」
記載されていない隠れた技術要素を確認し、自分のスキルセットとの適合性を再確認できます。
開発環境
「開発環境(OS、PCスペック、エディタ、モニタ環境など)に関して、こちら側で用意すべきものや、提供いただけるものがあればお聞かせください。」
参画前の準備を明確にし、スムーズな業務開始への配慮を示すことができます。
デプロイ
「デプロイやリリースはどのような頻度・プロセスで行われますか?CI/CDパイプラインの有無についても教えてください。」
開発サイクルと、自動化への取り組み状況を確認することができます。
仕様書
「技術仕様書や要件定義書などのドキュメントは、最新のものが整備されていますか?また、その管理場所について教えてください。」
情報の透明性と、ドキュメント文化の有無を確認することができます。
今後の長期的な参画可能性を探る質問
SES契約は短期のプロジェクトもありますが、フリーランスにとって長期的な安定は重要です。これらの質問は、長期的な貢献意欲を伝えることができます。
契約期間
「現時点での契約の延長可能性や、プロジェクトが今後長期化する見通しについて、差し支えのない範囲でお聞かせいただけますか?」
長期参画の意欲を示しつつ、将来の契約見通しを確認することができます。
今後の展望
「このプロジェクトが目指す中長期的なゴールや、今後の機能拡張のロードマップについて教えてください。」
案件の将来性に興味を示し、継続的に貢献したいという姿勢をアピールできます。
次のフェーズ
「現在のフェーズが完了した後、次のフェーズで想定される技術的な課題や、求められるスキルセットの変化があればお聞かせください。」
常にスキルアップを続け、プロジェクトの変化に対応しようとする姿勢を示すことができます。
避けるべき逆質問のNG例
どんなに意欲的な質問でも、面談官に「この人は一緒に働きにくいな」と思われてしまうと面談失敗につながります。以下のNG例を避けて、プロフェッショナルな印象を保ちましょう。
待遇や条件ばかりを気にする質問
契約前の面談で、過度に待遇や条件ばかりを質問するのは避けましょう。
フリーランスは報酬や契約期間も重要ですが、これらの交渉は基本的にエージェントの役割です。面談官は、あなたの「技術的な貢献意欲」を見ています。
「残業は月に何時間くらいですか?絶対に残業はできません。」
改善点: 残業ゼロを主張するのではなく、「現状の残業の傾向を教えていただけますか?自身のタスク管理の参考にさせていただきます。」と、プロとして自分の働き方を調整するための情報収集という姿勢で質問する。
「契約単価を上げる交渉は、いつ頃から可能になりますか?」
改善点: 単価の話はエージェントに任せ、「成果を出し、長期的に貢献することで、より責任のある役割を担わせていただく機会はありますか?」と、役割と成長に焦点を当てる。
調べれば分かる内容をそのまま聞く質問
SES案件の募集要項や、企業の公式サイトに明確に書かれているような内容を質問するのは、「事前準備をしていない」「案件への興味が薄い」と判断されます。
「御社が提供されているサービスの名前は何ですか?」
改善点: 「貴社(サービス名)において、今回のプロジェクトはどのような戦略的意義を持っているのでしょうか?」と、調べた上でさらに一歩踏み込んだ質問をする。
「求められる技術スタックは、JavaとPythonのどちらですか?」
改善点: 「Javaがメインと拝見しましたが、一部でPythonも利用されるとのこと。具体的な利用シーンや、連携するシステムについて、もう少し詳しく教えていただけますか?」と、情報を見た上で詳細を確認する。
ネガティブに受け取られる可能性のある質問
ネガティブな質問は、あなたがプロジェクトの問題点やリスクばかりを気にしている印象を与え、「一緒に前向きに課題を解決しよう」という姿勢が見えないと判断されかねません。
「過去にこの案件から離脱した人がいる場合、その理由は何でしたか?」
改善点: 「現在のチーム体制になってから、特に円滑なコミュニケーションを維持するために工夫されている点があれば、教えていただけますか?」と、ポジティブな改善努力に焦点を当てて質問する。
「開発スケジュールが遅れていることはありますか?また、遅延の責任は誰にありますか?」
改善点: 「スケジュールを厳守するために、特に重視されている進捗管理の仕組みや、リスクヘッジの方法についてお聞かせください。」と、プロセスの改善点に焦点を当てる。
逆質問で印象を上げるコツ
逆質問の「質」と「伝え方」を意識するだけで、面談官に与える印象は劇的に変わります。
質問は2〜3個に絞って具体的に聞く
質問が多すぎると、面談官の時間を奪い、「自己管理ができていない」「面談のクロージングができない」と見なされかねません。
理想的な質問数は、2〜3個です。
- 最も参画の判断に必要な、案件の核心に迫る質問(例:最優先タスク、成功の定義)
- 自分のスキルセットを活かせることをアピールできる質問(例:技術的な課題、アーキテクチャの方向性)
- チームへの貢献意欲を示す質問(例:チーム構成、キャッチアップ資料)
質問は、曖昧な聞き方を避け、「5W1H」を意識して具体的にしましょう。
「開発は大変ですか?」
「現在、開発プロセスの中で、どの部分(What)が最もボトルネックになっており、どのような対策を講じようとされているか、お聞かせいただけますか?」
「学ぶ姿勢」を見せる逆質問の切り口
フリーランスエンジニアは即戦力ですが、同時に新しい技術や知識を貪欲に学ぶ姿勢も評価されます。特に、若手のフリーランスや新しい技術領域に挑戦したい場合は有効です。
「私自身、(未経験の技術名)の利用経験はありませんが、現在はキャッチアップ中です。参画後、その技術についてメンターになっていただける方や、社内勉強会などのサポート体制はありますか?」
これは、「未経験だがやる気があること」と「サポート体制を必要としているが、自力での努力も怠らないこと」を同時に伝える建設的な質問です。企業側は、学習意欲の高い人材を好みます。
最後に前向きな意欲を伝える一言
すべての質問を終えた後、面談の締めくくりに、案件への前向きな意欲を明確に伝えましょう。この一言があるかないかで、あなたの熱意の伝わり方は全く異なります。
締めの一言例
「ご説明いただき、このプロジェクトの(例:技術的な挑戦、社会への貢献度など)に非常に魅力を感じました。私の(例:Reactの経験、マネジメント力など)は、特に(例:最優先タスク)に貢献できると確信しております。ぜひ、貴社にご協力させていただきたいです。」
「本日はありがとうございました。具体的な業務内容を理解し、参画後のイメージを明確に持つことができました。もしご縁をいただけましたら、即戦力として、チームに貢献できるよう尽力いたします。」
実際のエンジニア体験談:逆質問のケーススタディ
ここでは、実際に案件獲得に成功したフリーランスエンジニアの「逆質問」のケーススタディを紹介します。
「週あたりの平均的な残業時間はどれくらいですか」
残業時間は、ワークライフバランスとプロジェクトの健全性を測る重要な指標です。この質問の意図を掘り下げてみましょう。
残業が常態化しているプロジェクトの見極め
この場合、単に「何時間か」と聞くだけでは、当たり障りのない回答で終わる可能性があります。
具体的な質問例
「平均的な週あたりの残業時間はどれくらいでしょうか?また、残業が発生しやすい具体的なタイミング(例:リリース直前、四半期末など)や、その際のタスクの振り分け方について、差し支えない範囲で教えていただけますか?」
得られる情報
- 「恒常的に毎日1〜2時間」という回答の場合
プロジェクト管理が不安定であるか、慢性的な人員不足に陥っている可能性が高く、参画後の負荷が高いと見極めることができます。 - 「リリース前の数週間のみ」という回答の場合
計画的な残業であると判断でき、比較的健全な環境である可能性が高いです。発生原因と対処方法まで聞くことで、より信頼できる情報を得られます。
「出社頻度は週あたりどのくらいですか」
リモートワークの可否は、フリーランスにとって生活スタイルや生産性に直結する重要な要素です。
リモート稼働を優先したい場合における確認事項
リモート希望の場合でも、ルールやコミュニケーション環境を確認することで、プロとしての姿勢を示せます。
具体的な質問例
「現在、チーム全体としてリモートと出社の比率はどの程度ですか?また、リモートワーク時に円滑なコミュニケーションを図るために、特に工夫されているルールや、定期的なオンラインミーティングの頻度について教えてください。」
得られる情報
「週1回は必ず出社」などのルールがある場合はもちろん、リモート時の具体的なコミュニケーション方法(例:常にオンラインで繋いでいる、朝会と夕会のみなど)を知ることで、チームの文化や、リモートでの業務遂行に対する企業の慣れを確認できます。
「ソースコードは何を使って管理されていますか」
ソースコード管理は、開発プロセスとシステムの技術的な健全性を測る、非常に重要な指標です。
ソースコードのバージョン管理ツールを使っていないとレガシーなシステムやプロジェクトの傾向あり
もし面談官が「特に使っていません」「ローカルに保存しています」といった回答をした場合、そのプロジェクトは極めて古いレガシーなシステムか、現代の開発プロセスを全く踏んでいない可能性が高く、大きなリスクを伴います。
具体的な質問例
「ソースコードのバージョン管理には(Git/GitHub/GitLabなど具体的なツール名)をご利用でしょうか?また、ブランチ戦略(例:Git-flowなど)やマージ時の承認フローについても教えていただけますか?」
得られる情報
バージョン管理ツール名だけでなく、ブランチ戦略やレビューフローまで聞くことで、開発チームの技術的な規律と品質への意識の高さを見極めることができます。
管理が杜撰な現場は、参画後に技術的負債の解消や非効率な作業に追われる可能性が高いため、リスク判断の材料になります。
まとめ:SES面談の逆質問は印象と情報収集のチャンス
SES面談における「逆質問」は、単なる形式的なやり取りではありません。
それは、フリーランスエンジニアのあなたにとって、案件のリアルな情報を引き出し、契約後のミスマッチを避けるための「情報収集の機会」であり、同時にプロフェッショナルな視点と高い参画意欲を面談官に強く印象づける「自己アピールのチャンス」です。
成功の鍵は、以下の3点に集約されます。
- 貢献視点を持つ
「自分は何を得られるか」ではなく、「自分が入ることでどう貢献できるか」という視点で質問を選ぶ。 - 具体的な質問に絞る
質問は2〜3個に絞り、募集要項の裏側にある課題や期待を深く掘り下げる。 - 前向きな姿勢で締める
最後に必ず案件への強い意欲と貢献の決意を伝え、熱意を印象づける。
この記事で紹介した具体的な逆質問例とコツをマスターすれば、SES面談の成功率は飛躍的に向上するでしょう。
面談の場を「選ばれる場」から「選び、成功を確信する場」へと変え、理想のフリーランスライフを掴み取ってください。

【著者プロフィール】
江﨑 奈那
看護師/治験コーディネーター:3年
システムエンジニア:3年+

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