SESエンジニアが、転職活動や案件参画を成功させるためには、質の良い「職務経歴書」の作成が不可欠です。
なぜなら、職務経歴書はエンジニアの強みやスキル・実績をアピールするために重要な書類だからです。
本記事では、SES向け職務経歴書の必須項目、書き方のポイントを中心に詳しく解説します。
職務経歴書のテンプレートも配布しているため、ダウンロードして活用してください。

【著者プロフィール】
前田 奈央子
エンジニア歴: 7年+
システムエンジニア歴(バックエンド): 3年+
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SESにおける職務経歴書とは?
ここでは、SESにおける職務経歴書とはどのような書類なのかに加え、一般的な職務経歴書との違いについて解説します。
特に、初めて職務経歴書を作成する方は、一般的な職務経歴書との役割の違いを理解したうえで、SES向けの職務経歴書を作成することをおすすめします。
職務経歴書の基本的な役割
職務経歴書は、企業が採用や案件参画の判断をするための重要な書類です。
履歴書では学歴や社歴を記載しますが、業界や業務については簡易的な記載しか扱えません。
そのため、職務経歴書には、詳細な実務内容や企業・プロジェクトでの役割を始めとした業務に関する情報が記載され、その内容で企業は優秀な人材かどうかを判断します。
例えば、営業の職務経歴書では「マネージャーとして、○○エリア(5店舗)の目標設定・店舗支援・新規顧客の開拓・既存顧客対応を行う」など、主に職歴について具体的な数字や役割を記述します。
一般的な職務経歴書とSES向けの違い
SES向けの職務経歴書が、一般の職務経歴書と大きく異なる点として、案件単位で具体的な業務内容を記載する点が挙げられます。
SESでは出向先企業や案件の規模も変わるため、案件単位で「どのような案件」の「どの領域」で、「どの言語」「どのツール」を用い、「何を行った」かを説明する必要があるからです。
案件単位で細かく業務内容を記載することで、エンジニアがどのようなスキルを持っているかを企業側が深く理解し、エンジニアと企業側とのミスマッチを防ぐことができます。
SES職務経歴書に必ず書くべき項目
SESの職務経歴書は、特に企業側やエージェント側からフォーマットを指定されていない限り、自由に作成することが可能です。
しかし、SES職務経歴書を作成するうえで、必ず記載すべき項目があります。
SES向けの職務経歴書には必須の項目がないと、正しく評価をされなかったり、希望単価に届かない原因となるため、注意が必要です。
ここでは、SES職務経歴書に必ず書くべき以下の6つの項目について解説してきます。
基本情報
まず、以下の基本情報はきちんと記載しましょう。
「履歴書にも記載しているので省略しても問題ないのでは」と思う方もいるかもしれません。
しかし、職務経歴書にも最低限の基本情報は必要です。
特に最寄り駅などの交通手段は、SES営業担当が案件を紹介するときの条件の一つとして設定する内容でもあるため、職務経歴書内だけで必要な情報が確認できることが望ましいでしょう。
スキルセット
スキルセットはSESの職務経歴書の中で最も重要な情報の一つです。
以下のスキル項目は必ず記載した方がよいでしょう。
具体的には、「Java:3年」「MySQL:5年」など、技術ごとに経験年数を数字で記載します。
特に、言語やDB・フレームワークなどは経験年数に応じて、企業側が「サポート必要なレベル」なのか、「若手エンジニアに指導できるほど熟練されたレベル」なのかを判断することが多いです。
そのため、スキルセットの内容は、年収や単価の交渉を有利に進めるためにも、しっかりと記述をすることをおすすめします。
案件ごとの実績
案件単位での実績は、SES職務経歴書の中で核となる部分です。
スキルセットと同様に、年収や単価の交渉に重要な情報であるため、正確に記述することをおすすめします。
案件の実績は、以下の項目を中心に記載することが一般的です。
また、PLやPMの経験がある方は、上記の内容に加えて案件の規模やチームの人数を記載すると、マネージャーとしてのスキルをアピールしやすくなります。
成果・担当工程(要件定義/設計/開発/テストなど)
担当工程の幅や成果も、単価や年収に関わる重要な情報です。
特に、要件定義や設計などの上流工程を経験しているエンジニアは高く評価されます。
さらに、「開発のみ」よりも「要件定義~結合試験まで対応」などのように幅広く工程を経験している方が、市場価値が高い傾向にあります。
そのため、担当工程は可能な限り詳細に記載した方が、エンジニアの評価を高まりやすくなるでしょう。
資格・研修・自己学習の内容
資格や研修、自己学習の内容の記載は、エンジニアの努力を可視化するための情報として役立ちます。
例えば、IPAの応用情報技術者やAWS認定資格などの資格を記載したり、ITベンダーの技術研修を受講した事実について記載したりします。
ちなみに、資格については、取得した年数を書くことを推奨します。
なぜなら、資格の中には、技術の刷新のサイクルが早いという理由から、有効期限や更新義務がある資格も存在します。
そのため、資格を取得年月は記載した方が信ぴょう性が高まります。
また、継続的に自己学習や技術の研鑽を行っているかというアピールも大切です。
継続学習を行うエンジニアは評価されやすく、また技術が少し足りない案件を希望した場合であっても、「このエンジニアなら対応できる力があるだろう」と判断してもらいやすくなります。
つまり、資格や学習履歴は、エンジニアの努力要素を示すだけでなく、業務経験不足を補う重要なアピール材料なのです。
職務経歴の要約
職務経歴について、要約を入れて読みやすくすることも大切です。
SESの職務経歴書は、エンジニアによっては参画した案件が多すぎると読みづらくなってしまうことがあります。
そこで、職務経歴の要約は、豊富な職歴を簡潔に整理し、応募企業に合った実績を分かりやすく伝える手段です。
例えば『SESエンジニアとして7年間、主に金融業界のシステム開発案件に携わってきました』といったように、案件ごとの実績に目を通さずとも、「どの業界」や「どの工程」に強みがあるエンジニアなのかをアピールが可能です。
また、単なる案件の実績だけをまとめるだけではなく、エンジニアとしてどのように成長してきたかのストーリーを企業側に伝えることもできます。
例えば下記のように、記載することで、企業側は職務経歴書にストーリー性を感じるようになります。
「既存システムの改修案件に3年携わり、テスト工程の自動化を推進し、工数を20%削減して業務の効率化に貢献しました。現在は、同業界の新規システムの開発案件に参画し、過去の経験を活かしてサブリーダーとして工数の削減に努めております」
このように、過去の案件の実績と、現在もしくは直近の案件での実績を紐づけるように記載することで、よりエンジニアの実績やスキルに説得力が増します。
SES職務経歴書の書き方のポイント
SESの職務経歴書は、書き方に注意しなければ、単なる案件の実績の羅列になってしまいます。
また、分かりづらい内容であればあるほど、企業から正当な評価がされず、機会損失につながるおそれがあります。
ここでは、エンジニアのスキルが適切にアピールされるように、SES職務経歴書の書き方のポイントを4つ紹介していきます。
経験年数は正確かつ一目でわかるように整理する
まず、経験年数は、視覚的に分かりやすく、かつ、正確に書くことを心がけましょう。
特に、曖昧な年数表記は信頼性を損なうため、「2~3年」といった表記ではなく、「2年6ヶ月」と正確に記載しましょう。
また、「Java:3年(設計1年・開発2年)」のように、工程に応じて分けて記載する場合もあります。
案件内容は「技術・規模・役割」を具体的に書く
案件の記載は、公開できる可能な範囲で、具体的に記載することが重要です。
職務経歴書の核となる案件の実績は、「案件の規模」「使用した技術」「案件での役割」を中心に記載します。
上記の項目を詳細に記述することで、企業や営業側はエンジニアのスキルについて把握しやすくなり、人材のミスマッチを防ぐことが可能です。
エンジニア自身も、「実際に案件参画してみたら今まで自分が築き上げたキャリアと違う」といった事態も回避しやすくなります。
直近の案件や需要の高いスキルを強調する
直近の案件や、市場価値が高いスキルを強調することで、より多くの案件や転職の機会を獲得できます。
IT技術のトレンドは近年変化が速くなってきており、最新のスキルを持つ人材は優遇されやすい傾向にあります。
そのため、直近の案件は特に詳細に記載することを心がけ、需要が高いスキルについては記載漏れがないように注意しましょう。
例えば、下記のようなスキルは近年で需要が増えているため、当てはまるものがあれば積極的に記載することをおすすめします。
・AWS、Microsoft Azureなどのクラウド技術
・機械学習モデル構築やデータ分析など、AI関連スキル
・セキュリティエンジニア経験
成果や改善点を数字や事例でアピールする
案件での成果や業務で行った改善点などは、具体的な数字や事例で説明すると、より職務経歴書に説得力が出ます。
また、ただ案件の内容を記載するだけではなく、成果や行った改善点を数字で示すことで、企業・営業担当側は「このエンジニアは自社の案件でどのような活躍をしてくれるか」を想像しやすくなります。
面接での志望動機などでアピールする際にも、職務経歴書に記載した情報を基に述べる方が説得力が増すため、十分な時間をかけて推敲することをおすすめします。
スキルシートとの違いと使い分け
SESの職務経歴書と似たような書類にスキルシートが存在します。
両者の違いを意識しながら、書類の役割に応じて情報を適切に記載し、転職や案件獲得で最大限の効果を発揮しましょう。
職務経歴書=経歴のストーリーを伝える
職務経歴書は、エンジニアのキャリアの流れや成長、専門性について伝えるための書類です。
企業側はエンジニアの過去の実績と成長可能性をふまえて、案件適性を判断します。
そのため、エンジニアが案件ごとにどんな活躍をしたのか、どのような過程でキャリアを積んできたのかを企業側は知把握したいのです。
「入社1年目から大手××会社の業務システムの保守・運用業務を経験し、3年目以降は同システムの開発を担当しました。」
「下流工程の複数の経験を活かし、結合試験のテスト自動化の導入を提案しました。」
上記のように、単なる「スキルの情報」だけでなく、スキルを習得した経緯や流れ、案件に対する姿勢や向き合い方などを入れることで、スキル以外の「エンジニア像」を企業に理解してもらいやすくなります。
スキルシート=スキルの棚卸しと一覧性を重視
一方、スキルシートは、技術・経験年数を俯瞰的に整理し、案件マッチングのための基礎的な書類です。
営業担当やクライアントが、スキルの有無やレベルを一目で把握できることが主な目的となります。
そのため、一覧形式で整理されることが多く、具体的な記載方法は下記のような形です。
「Java (3年)」
「Python :5年(開発で3年、設計で2年)」
※技術名/経験年数の順で記載。必要に応じて、得意分野や補足事項を記載。
企業やエージェントによっては、スキルシートと職務経歴書をほぼ同義で扱うこともありますが、一般的にはスキルシートは職務経歴書よりも簡易的でスキルを可視化することに長けている書類として扱われます。
SES職務経歴書のフォーマット・テンプレート例
ここでは、よく使用されるSES職務経歴書のフォーマットやテンプレートについて解説していきます。
エンジニアの経歴や趣向によって、使いやすい・使いづらいと感じるフォーマットはそれぞれ違います。
自身の経歴に沿った適切なフォーマットを使用しましょう。
よく使われるWord・Excelフォーマット

SESの職務経歴書は、上記の図のように、Word・Excelなどで作成された表のような形のフォーマットが使用されることが多いです。
このような形式のフォーマットのメリットとして下記のような点が挙げられます。
反対にデメリットは以下のような点が挙げられます。
よくあるフォーマットだからといってすべて踏襲する必要はありません。
自分の経歴に合うアピール方法を考えてフォーマットを選びましょう。
見やすさ重視のレイアウト例

上記図のように、余白や文字の見やすさ重視のフォーマットもよく使われています。
SESの職務経歴書というよりは、一般的な職務経歴書に多いフォーマットですが、近年では異業種からITへの転職も増えているため、このようなフォーマットで職務経歴書で作成する方もいます。
また、最近の転職エージェントや転職サイトでは、WordやExcelではなくサイト上で作成し、PDF化して職務経歴書が作成されることも珍しくありません。
そのため、WordやExcelで作成するものと比べて、余白が多めで見やすく、管理しやすい職務経歴書も増えています。
このようなフォーマットで職務経歴書を作成するメリットとして、以下のような点が挙げられます。
反対にデメリットは以下のような点が挙げられます。
どのような形式のフォーマットが良いか、自身の経歴や書きたい内容から逆算して選択することをおすすめします。
初めての人でも使いやすいテンプレート紹介
初めてSESの職務経歴書を記載する方は、まずはテンプレートを使用して作成することをおすすめします。
最初から自作の職務経歴書を作成した場合、必要な情報が抜けてしまう可能性があるからです。
そのため最初は一般的なSESの職務経歴書のテンプレートを使用して、自身の経歴を記載してみてください。
SESの職務経歴書のテンプレートはこちらからダウンロードしてください。
まとめ:SESの職務経歴書は「具体性」と「整理力」が評価される
SESエンジニアが転職や案件参画に選ばれるためには、「具体性」を伴ったSESの職務経歴書を作成することが大切です。
スキル・担当領域・成果や実績について、数値などで具体的に示すことで、エンジニアとしての市場価値が企業に正しく伝わります。
また、応募先企業や案件に合ったアピールのためには、適切に経歴をまとめあげる「整理力」も必要となります。
案件や応募先企業が必要としているスキルに応じて、自身の経歴の中でアピールポイントを整理し、職務経歴書を作成することで、エンジニアとしての優秀さが伝わりやすくなるでしょう。
自分のスキルと経験を最大限に引き出せる職務経歴書を準備する際には、ぜひ本記事で紹介した必須項目や書き方のポイントを意識して作成してみてください。

【著者プロフィール】
前田 奈央子
エンジニア歴: 7年+
システムエンジニア歴(バックエンド): 3年+
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